データセンターはITシステムの基礎になるサーバが稼働する建物です。
マシン室はサーバに最適な環境を維持していて、窓は無く冷却ファンの回る音が鳴り響いています。
そんな所でネットワークエンジニアをやっていました。
この記事では、
- データセンターのエンジニアって残業多いの?休日出勤はあるの?
- データセンターのネットワークって何するの?
- データセンターで仕事をする事になったので予習したい。
そんな方に読んでもらいたいです。
普通のネットワークエンジニアと違うところ
データセンターはシステムを稼働させる設備やスペースを顧客へ提供しています。
なのでデータセンター担当者として、設備についての問い合わせを受けたりするカスタマーサービスを行う必要があります。
また、システムの近くにいるのでトラブルがあった際に機器のランプ状態を確認したり、ログを取得したり、ケーブルの差し替えをしたりとカスタマーエンジニアの作業も発生します。
普通のネットワークエンジニアでもたまに似たような作業が発生する事はありますが、桁違いで多いです。
設備の事からシステムの事まで何でも対応するので覚えることは多いですが、顧客からは頼りにされる存在です。
仕事内容や残業、休日出勤について
一般的なネットワークエンジニアが行う設計・構築・運用・保守全てを行います。
ですが工程単位ではなく、顧客単位で担当しているため依頼を受けた設計・構築の区切りがつけば運用がメインになります。
システムでエラーが発生すると監視チームから電話連絡を受けて調査を行うこともあります。
保守ではカスタマーエンジニアのように、機器のファームアップを行ったり、故障時の交換をしたりします。
請け負う工程については、現場によって違うと思うので参考程度にしてください。
カスタマーサービスとしては、主に機器導入・撤去のサポートを行います。こちらは独自のルールなど覚える事が多いです。
対応範囲が広いので、最初はネットワークどころでは無いかもしれません。
何もないラックに電源が設置され、ケーブルが敷設され、機器がラッキングされシステムが出来上がる経過を間近で見る事ができるのはかなり貴重な体験だと思います。
残業はありました。
現地確認の依頼があるとマシン室へ行かなければいけません。
調査の準備、マシン室までの往復、作業後の報告や管理台帳の更新などをしていたら1時間ほどかかります。
こんなのが何度も入ると予定していた作業は中々進みません。
仕方なく残業して作業を進める事になります。
ネットワークの作業は土日に行うことが多いので休日出勤はありました。
ここまでいろいろ書きましたが、結局残業の有無は現場の体制によりますし、
休日出勤は顧客のポリシーもあるのでデータセンターに限った事ではないと思います。
データセンターで働く上で覚えていた方がいい事
メンテナンス予定がない時は、ネットワーク機器やケーブルに触れないようにする事
システムで通信不具合があると連絡を受けて、調べていくとそのシステムのラックを開閉した日に不具合が起きていた事が分かりました。
開閉はメンテナンスではなくて、ネットワーク機器の状態確認を行なっていました。
原因はケーブルの接触不良でラックの扉に当たっていた部分が開閉によって動いて、通信不具合を引き起こしていました。
こんな事もあるので指で触れるのもやめた方がいいです。
機器がホスティングかハウジングか
ホスティングは機器自体はデータセンターが購入して、顧客が利用料を払って使う物です。
ハウジングは機器自体を顧客が購入して使う物です。
結局はネットワークの一部として使うので普段は気にしなくていいですが、故障した時や撤去する時にどちらが廃棄するのか、資産の棚卸にカウントするしないが異なります。
資産管理に手間をかけたくないのでできれば顧客管理のハウジングが嬉しいですが、ごちゃごちゃになるくらいならどちらかに統一したいです。
インターネットの提供元
顧客のインターネットは誰の提供なのか?
データセンターがプロバイダと契約してその回線をさらに顧客に提供しているインターネットサービスと、顧客自身がプロバイダと契約してデータセンターに回線を引き込むインターネットの2種類あります。
他顧客との回線相乗りが嫌な場合や、帯域を多く使いたい場合は自身で引き込む事になります。
これは、ネットワーク障害の際に問い合わせる先が異なってきます。
顧客引き込みだと回線契約や解約のタイミングで回線業者の工事が入りますが慣れれば苦ではなくなります。
データセンター提供のインターネットだと障害が起きた際に、インターネットの設備担当者と密に連携する必要があって大変なので顧客引き込みがいいです。
ここで、インターネット回線がどのような経路でマシンラックまで届いているのか説明します。
契約したプロバイダからのケーブルはMDF室→IDF室→マシンラックの順番で繋がっています。
MDF室は回線工事業者が屋外から引っ張ってきたケーブルを最初に繋ぐ設備のある部屋です。建物に1つしかありません。
IDF室はMDF室とケーブルが繋がっています。このIDF室から目的のマシンラックまでケーブルを伸ばして回線を繋ぎます。建物の階層毎にあります。
これらの部屋の管理は、設備の担当者が居るので特に気にしなくてもいいです。
なので部屋の鍵はネットワークエンジニアが持つことはありませんが、言葉を知らないと話が進まないので覚えておくといいです。
電源は電源盤から把握しておく
普通電源はコンセントの差込口や、そこから伸びた電源タップを使います。
データセンターは電源盤からコンセントBOXを伸ばしてマシンラックの下に設置します。下にあるコンセントBOXに電源タップやUPSを差し込みマシンラック内で使います。
ネットワーク機器の電源を冗長する場合は、必ず別々の電源盤から来ているコンセントに接続するようにします。
例えば電源盤Aから伸びているコンセントBOXに冗長電源の2本を接続すると、電源盤Aが故障したら2本とも電源の供給が断たれてしまいます。
なので電源盤Aと電源盤Bの2種類に分かれている事が重要になります。
データセンターの持ち込み物について
持ち込みできる物やできない物、持ち込みに申請が必要な物など様々です。
危険物以外であれば、作業に必要な道具は全て持ち込みできます。
PCやスマホも持ち込めるので気にする事はほとんどありません。
携帯が無くても無料でPHSの貸し出しをしているので電話はできます。国際電話はできませんが、国内通話は問題ありません。
飴程度ならバレませんが、マシン室内での飲食はやめましょう。
データセンターでの仕事をしてみて思ったこと
データセンターは地理や地盤を考慮した安全な土地に建てられていて、建物も地震に強く作られています。建物の中でも最高レベル?(多分)
なので災害に強いです。
もちろん地震があると揺れますが、家にいるより安心できます。
未使用の機器が沢山あったので検証や動作確認がやり放題です。
これはデータセンターの仕事から離れて思ったことです。今では検証用の機器が無いので準備に手間取ります。
マシン室に長時間居ると時間感覚が麻痺する。
検証に集中して気がついたら深夜の0時ということもありました。
周りに人が居ないので帰るタイミングなども掴みにくいです。
と言っても私はデータセンターの無機質な感じが好きでした。
常に冷たい空間で機械的に出てくる綺麗な空気、誰も居ないので時間が止まったように感じます。
まとめ
データセンターでは普通のネットワークエンジニアの仕事に加えて、カスタマーサービス&カスタマーエンジニアの仕事もやっている事が分かりました。
また、データセンター独特のホスティング/ハウジングと言う言葉も出てきました。会話についていけるように覚えておくといいでしょう。
データセンターはとにかく機器が沢山あるので機器いじり好きにはうってつけの環境だと思います。