ExcelVBAでネットワーク系の処理を自動化するときに必ず発生するのが、IPアドレスの判定です。
- ExcelVBAで文字列がIPアドレスの形式か確認したい
- 複数のIPアドレスを同時に判定したい
IPアドレスの判定方法
IPアドレスの判定には正規表現を使います。
正規表現とは文字の条件を指定できる表現方法です。
例えばしりとりで「き」がお題で、すべての単語から「き」で始まるものを探したいとき、
で検索すると「きりん」や「ひこうき」などが一致します。
最初の文字が「き」の単語を探したい場合はこうします。
「^」は正規表現で最初の文字を表す文字になります。
^ $ ? * + . | { } \ [ ] ( )
この正規表現を使うとIPアドレスは、
^(([1-9]|[1-9][0-9]|1[0-9][0-9]|2[0-4][0-9]|25[0-5])\.){3}([1-9]|[1-9][0-9]|1[0-9][0-9]|2[0-4][0-9]|25[0-5])$
になり、
を表します。
これだとなぜそうなるのか、分からないので次の項目で説明していきます。
正規表現の説明
第1オクテット
第一オクテットの数字から開始させたいので、先ほど説明した開始を表す「^」を入れます。
次に赤色で表した
は、
になります。
- [1-9] ・・1から9
- [1-9][0-9] ・・10から99
- 1[0-9][0-9] ・・100から199
- 2[0-4][0-9] ・・200から249
- 25[0-5] ・・250から255
次に5つのパターンを「 | 」で繋ぎます。
「 | 」はORを表すメタ文字なので5つのパターンのどれかに一致すればいいので、
これで1~255を表すことができます。
ドット
ドットはメタ文字でそのままだと任意の1文字として扱われるのでバックスラッシュで打ち消します。
は
です。
IPアドレスで使うドットはたまたまメタ文字のドットと同じだったのでこのような処理が必要になります。
記号を使う時は注意しましょう。
第2オクテット〜第3オクテット
赤色の{}は直前の文字を数字分だけ繰り返すメタ文字です。
直前の文字は()で囲まれている部分なので1~255.です。
なので1~255.を3回繰り返して
になります。
第4オクテット
第4オクテットは最後にドットが付かないので改めて1~255.を指定します。
これでIPアドレスの形は完成です。
最後は第4オクテットの数字で終了させたいので最後の文字を表すメタ文字「$」を記載します。
ExcelVBAで判定するプログラム
IPアドレスの正規表現を使って実際に判定してみます。
Sub IPアドレス判定() '判定するIPアドレス4つを配列として「IPリスト」へ格納 IPリスト = Array("192.168.10.1", "192.168.10.0", "192.168.10.255", "192.168.10.256") Set RE = CreateObject("VBScript.RegExp") 'ここにIPアドレスの正規表現を記載 RE.Pattern = "^(([1-9]|[1-9][0-9]|1[0-9][0-9]|2[0-4][0-9]|25[0-5])\.){3}([1-9]|[1-9][0-9]|1[0-9][0-9]|2[0-4][0-9]|25[0-5])$" RE.Global = True '配列から1つずつ取り出して変数「IP」へ格納 For Each IP In IPリスト '正規表現に一致した場合は「1」を返す。それ以外は「0」を返す。 Set 結果 = RE.Execute(IP) '結果が「1」かどうか確認する。 If 結果.Count > 0 Then '「1」の場合。「IPアドレス表記です。」を画面に出力 Debug.Print IP & "はIPアドレス表記です。" Else '「0」の場合。「IPアドレス表記ではありません。」を画面に出力 Debug.Print IP & "はIPアドレス表記ではありません。" End If Next End Sub
試しに4つのテスト用IPアドレスを正規表現で判定していきます。
- 192.168.10.1
- 192.168.10.0
- 192.168.10.255
- 192.168.10.256
出力された結果
192.168.10.1はIPアドレス表記です。 192.168.10.0はIPアドレス表記ではありません。 192.168.10.255はIPアドレス表記です。 192.168.10.256はIPアドレス表記ではありません。
1つ目と3つ目は正規表現の「1~255.1~255.1~255.1~255」を全て満たしています。
2つ目の192.168.10.0は最後が0なので、正規表現の1~255と一致していません。
最後が0なのはネットワークアドレスとしては存在しますが、今回はIPアドレスの判定なのでIPアドレスとしては認識しません。
4つ目も192.168.10.256は最後が256なので、正規表現の1~255と一致していません。IPアドレスは最大255までなので256はあり得ません。
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まとめ
今回は正規表現を使い文字列がIPアドレスを判定しました。
判定したいIPアドレスを配列に入れて繰り返す事で、一度に複数のIPアドレスをチェックする事ができます。
この記事で紹介した正規表現ではネットワークアドレスやサブネットマスクは判定できないので、アレンジして使ってみてください。